サイテーションは、「リンクなしのブランド言及」を通じて、検索エンジンに信頼性や知名度を伝える重要な要素です。
とくにGoogleビジネスプロフィールを活用するMEO(ローカルSEO)では、サイテーションが検索評価に与える影響が年々注目されています。
本記事では、サイテーションの定義や被リンクとの違いから始まり、SEOやMEOへの具体的な効果、実践的な獲得方法、確認手順、そして注意点までを体系的に解説します。
内部対策・外部対策と組み合わせて評価を底上げしたい方にとって、地に足のついた戦略設計に役立つ情報を詰め込んでいます。
Web集客をこれから強化したい方や、ローカルでの存在感を高めたい担当者に向けて、わかりやすく実用的にお届けします。
・Googleビジネスプロフィールを整備しても、なぜか検索順位が上がらない
・SNSや口コミでの話題づくりがMEOにどう影響しているのか分からない
・NAPや構造化データなど、何から取り組めば良いか迷っている
そんなお悩みがある方には、外部の視点から整理・改善のサポートを受けるという方法もあります。
シンクションでは、ローカルSEOやサイテーション対策のプロが、状況を丁寧にヒアリングし、具体的な打ち手をご提案しています。
目次
サイテーションとは?
サイテーションとは、Web上で企業名やブランド名が「リンクなし」で言及されることを意味します。
たとえば「○○のカフェは落ち着ける」とSNSで書かれていれば、それがサイテーションです。
Googleは「視認性の高さ」をローカル検索の評価要因として明記しており、名前が繰り返し登場する状況=認知されている状態と捉えられます。
つまり、サイテーションは「知名度の証拠」として評価される仕組みです。
MEO対策では特に効果が大きく、検索順位を左右する要因の一つとなっています。
たとえば、SNSの投稿で店舗名が言及されたり、口コミサイトでサービス名が紹介されたりすると、それだけでサイテーション効果が発生します。
リンクがなくても、検索エンジンが企業の存在を認識し、評価する仕組みが整っているのです。
特にローカルSEO(MEO)では、サイテーションが検索順位を左右する大きな要因とされています。
そのため、オンライン上での発信内容を統一し、正確な情報が多く言及されるよう対策することが重要です。
サイテーションと被リンクの違い
サイテーションは、リンクなしでブランドや企業名がWeb上で言及されることを指します。
被リンクは外部サイトからの直接的なハイパーリンクを伴うものであり、Googleのアルゴリズム(PageRank等)によってSEOに直接的に影響を与えます。
一方、サイテーションは主にローカル検索(MEO)において間接的に知名度や信頼性を補強する要素として評価されます。
Googleの公式見解では、「リンクのない単なる言及はPageRankなどリンクグラフ評価には用いていない」と明言されており、SEO効果は被リンクとは異なり、間接的である点を理解する必要があります。
参考:Google’s John Mueller on Brand Mentions
- 被リンク:外部サイトからURL付きで紹介
- サイテーション:リンクなしの言及
どちらもGoogleは評価材料として活用していますが、リンクの有無・主な効果範囲に違いがあります。
例えば、X(旧Twitter)で「○○のサービスは信頼できる」と書かれていれば、それはサイテーション。
同じ内容に自社サイトへのリンクが貼られていれば、それは被リンクとなります。
サイテーションは、特にMEO(Map Engine Optimization)やブランド認知度の評価に有効であり、リンクの獲得が難しい場面でも効果を発揮します。
一方、被リンクは、オーソリティ(権威性)やトラフィックの増加に直結するため、SEO全体の底上げに重要です。
このように、どちらも検索エンジンからの信頼獲得に貢献する要素ですが、評価の仕組みと活用場面が異なるため、それぞれの性質を理解して適切に活用することが求められます。
関連記事:SEO効果を高める良質な被リンクを増やす施策18選
検索エンジンにおける評価の違い
検索エンジンは、被リンクとサイテーションをそれぞれ異なる観点から評価しています。
まず、被リンクとは他サイトから自社サイトへのリンク(URL)を伴う言及です。
検索エンジンは、リンク元の信頼性や関連性を分析し、そのリンクが「推薦のシグナル」として有効かどうかを判断します。
Googleはかつて「PageRank」というリンク解析アルゴリズムを公式に導入しており、この考え方は現在の評価ロジックにも一定程度取り入れられていると考えられています。
一方、サイテーションはリンクがなくても、ブランド名や店舗名などがテキストとしてWeb上で言及されている状態を指します。
特にローカル検索では、Googleが「視認性の高さ(Prominence)」をランキング要因として明記しており、記事や口コミ、ディレクトリサイト上での言及も含めてビジネスの認知度として評価されるとされています。
視認性の高さとは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。ビジネスによっては、オフラインでの知名度の方が高いことがありますが、ローカル検索結果のランキングにはこうした情報が加味されます。たとえば、有名な博物館、ランドマークとなるホテル、有名なブランド名を持つお店などは、ローカル検索結果で上位に表示されやすくなります。
ビジネスについてのウェブ上の情報(リンク、記事、店舗一覧など)も視認性の高さに影響します。Google でのクチコミ数とスコアも、ローカル検索結果のランキングに影響します。クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ランキングが高くなります。ウェブ検索結果での掲載順位も考慮に入れられるため、検索エンジン最適化(SEO)の手法も適用できます。
このように、被リンクは「信頼性」のシグナル、サイテーションは「知名度」のシグナルとして、SEOやMEOに異なる影響を与える存在です。
関連記事:Google検索の基本事項について
サイテーションと被リンクの使い分け方
サイテーションと被リンクは、それぞれ異なる強みを持つため、目的に応じて使い分けることが重要です。
被リンクは、SEO対策として強い信号を検索エンジンに送る手段です。
特に競合が多いキーワードやコンテンツマーケティングの場面では、高品質な外部サイトからのリンク獲得が有効です。
検索順位の上昇を狙うなら、信頼性や専門性が認められるサイトからの被リンクが効果的です。
一方、サイテーションは、ローカルSEO(MEO)やブランド認知の強化に向いています。
SNSや口コミサイト、業界ポータルサイトでのテキスト言及を通じて、知名度や話題性を高めるシグナルとなります。
ローカル検索の視認性向上や、指名検索数の増加にも貢献します。
たとえば、
- 地域密着型の店舗ビジネスならサイテーション重視
- 専門コンテンツやWeb集客なら被リンク重視
といった使い分けが理想です。
どちらか一方ではなく、両者をバランス良く活用することで、検索エンジンからの総合的な評価が高まりやすくなります。
関連記事:SEOに強い内部リンク設計とは?効果的な貼り方を解説
サイテーションがSEOやMEOに与える影響
サイテーションは、検索エンジンにとって「どれだけ広く知られているか」を判断するヒントになります。
リンクがなくても、会社名や店舗名がWeb上で繰り返し言及されていれば、検索順位に影響する可能性があります。
Googleは、ローカル検索のランキング要因として「視認性の高さ(Prominence)」を挙げています。
視認性とは、口コミやネット上の記事、店舗一覧などに自社の情報がどれだけ載っているかを含む評価指標です。
サイテーションは単純に量が多いほど有効とは限らず、質の高さやNAP(名前・住所・電話番号)の情報一貫性が重要です。
信頼性の高い業界サイトや主要なオンラインディレクトリなどで正確かつ一貫した情報が掲載されていることが評価を高めます。
最新の調査によれば、NAP情報が主要なサイトで一致しているビジネスはローカル検索結果に表示される可能性が高まることが確認されています。
また、Googleが検索品質の基準として重視している「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」の考え方においても、言及の多さは信頼性を裏付ける材料の一つになると見られています。
つまり、サイテーションを増やすことは、検索結果で見つけられやすくなるための土台づくりに役立ちます。
ここからは、サイテーションがどう評価されるのか、3つの視点から詳しく見ていきましょう。
知名度や話題性が評価される仕組み
検索エンジンは、Web上でどれだけ言及されているかを通じて「知名度」や「話題性」を測ろうとしています。
この評価は、リンクがあるかどうかに関係なく、テキストによる言及=サイテーションがカウントされる可能性があるという点が特徴です。
たとえば、SNSでサービス名が繰り返し登場したり、口コミサイトで企業名が紹介されていたりすると、それがユーザーの関心や認知度の証拠として捉えられることがあります。
多くのユーザーが名前を挙げているという事実は、「よく知られている存在=視認性が高い」としてGoogleに評価されやすくなると考えられます。
実際に、ローカル検索では「視認性の高さ」が重要な評価要素の一つとされており、口コミ数やWeb上での情報量が多いビジネスは、有利になりやすいと考えられます。
つまり、話題になる回数そのものが、検索評価の材料になり得るという仕組みです。
「自然に名前が広まる状態」をつくることが、サイテーション対策の基本です。
関連記事:SEOに強いサイト設計「トピッククラスター」の仕組みと構築ステップを解説
E-E-A-Tとサイテーションの関係を正しく理解する
E-E-A-Tとは、Googleが検索品質評価ガイドラインにおいて重視する4つの視点
Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の略称です。
ただし、E-E-A-Tは検索順位を直接決めるアルゴリズムの要因ではなく、検索品質評価者による審査の基準として定義されたものです。
ローカルSEOの観点では、企業名や店舗名がWeb上で繰り返し言及される「サイテーション」は、ビジネスの実在性や知名度を検索エンジンに伝える間接的なシグナルとなります。
特に業界ポータルサイトや公共ディレクトリ、ニュース記事などでの正確な言及は、信頼性(Trustworthiness)の補完として有効です。
また、口コミやレビュー、SNSでの実体験に基づく発信は、E-E-A-Tの「経験(Experience)」を裏付ける材料としても評価されやすくなります。
たとえば、「○○のサービスを使って本当に良かった」「スタッフの対応が丁寧だった」など、第三者による自然な言及はユーザー視点の信頼性につながります。
ただし注意点もあります。
信頼性の低いサイトやネガティブな内容での言及は、かえってブランドイメージを損なうリスクにもなります。
検索エンジンはコンテンツの文脈や発信元の信頼性も加味するため、「どこで」「どのように」言及されているかを重視する必要があります。
つまり、サイテーションはE-E-A-Tそのものではありませんが、「信頼される存在」としての評価を下支えする要素です。
特にローカルSEOでは、信頼性の高い媒体でポジティブに語られることが、間接的な評価向上につながります。
関連記事:E-E-A-Tとは?
Google公式が示すローカル検索の評価基準
Googleは、ローカル検索のランキングを決定する際に「関連性・距離・視認性の高さ(Prominence)」の3つの要素を用いています。
これは、Googleビジネスプロフィールの公式ヘルプで明言されており、サイテーション施策の設計において非常に参考になります。
Googleは、以下のような要素が視認性に影響すると明記しています。
この中でも特に「Web上の情報量」は、リンクの有無を問わず、サイテーション(言及)の質と量が評価に影響する可能性を示唆しています。
また、「検索順位も考慮される」と明記されているため、SEOとMEOは完全に切り離せない関係にあるとわかります。
つまり、ローカル検索で上位表示を目指すには、「正確で関連性の高い情報の登録」と「多くのユーザーに語られる状況づくり」の両方を意識して取り組むことが大切です。
参考:Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法
サイテーション獲得に向けた準備
サイテーションの効果を高めるには、まず「情報の整備」が欠かせません。
名前や住所の表記がバラバラだと、検索エンジンに正しく認識されず、評価に結びつきません。
そのため、NAP(名前・住所・電話番号)の統一や、Googleビジネスプロフィール、構造化データの整備など、基礎情報の正確さと一貫性を保つことが重要です。
この章では、サイテーションを得る前に見直しておきたい準備項目を解説します。
NAP(名前・住所・電話番号)情報を統一する
NAPとは、Name(名称)、Address(住所)、Phone(電話番号)の頭文字を取った略語で、検索エンジンに対して事業者の実在性を示す重要な情報です。
このNAP情報に表記のゆれや矛盾があると、検索エンジンはそれぞれを“別の事業体”として認識してしまう可能性があり、信頼性や評価の一貫性が損なわれます。
たとえば、「株式会社」と「(株)」の表記ゆれ、「丁目・番地」の有無、電話番号のハイフンの有無なども分散の原因となります。
特にローカルSEOでは、Web上で一貫したNAPが表示されていることが、Googleに対する「信頼できるビジネス情報」として評価される重要な条件です。
実際、主要なディレクトリやレビューサイトでNAPが一致している企業は、ローカル検索の上位表示(ローカルパック)に掲載される確率が高まるというデータも報告されています。
そのため、以下のような媒体での表記統一を徹底することが、検索エンジンとユーザーの双方にとって「信頼できる存在」として認識されるための第一歩です。
- 自社Webサイト(トップページ・フッター・会社概要など)
- Googleビジネスプロフィール
- SNSアカウントのプロフィール欄
- 外部ディレクトリ(食べログ、エキテン、業界ポータルなど)
表記の一貫性=信頼の一貫性と捉え、サイテーションの評価効果を最大化できる環境づくりを行いましょう。
Googleビジネスプロフィールを整備する
サイテーションが正しく評価されるためには、検索エンジンが企業情報を一貫して認識できる状態を整えておく必要があります。
その前提として、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の正確な整備は欠かせません。
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに表示される情報の基盤となるものであり、Web上の他媒体での言及(サイテーション)と照合される「参照元」の役割を果たします。
まず、オーナー確認を完了し、Googleに自社の情報を“公式情報”として認識させることが重要です。
さらに、以下のような基本項目を最新かつ正確に登録・更新しておくことで、サイテーションと紐づけて評価されやすくなります。
- 正式なビジネス名(略称・旧名との混在を避ける)
- 正確な住所・電話番号(NAP情報)との整合性
- 営業時間や定休日などの基本情報
- 提供サービスや業種カテゴリ
- 写真・口コミへの返信などのユーザー対応履歴
Googleはローカル検索順位を決定する要因として、「視認性(Prominence)」という概念を挙げており、Web上での言及数だけでなく、それが信頼できる一次情報と整合しているかが重視されます。
したがって、プロフィール情報が他のディレクトリやSNSなどでの情報と一致していれば、サイテーションの効果がより正確に反映されやすくなります。
サイテーション獲得の効果を最大限に活かすためにも、まずはGoogleビジネスプロフィールの内容を見直し、「言及されても評価される状態かどうか」を整備しておくことが、重要な準備プロセスです。
構造化データで表記のブレを防ぐ
構造化データとは、検索エンジンに対してWebページの内容を明示的に伝えるためのマークアップ技術です。
特に「LocalBusiness」などのSchema.orgに基づくスキーマタイプを使用することで、企業名・住所・電話番号(NAP情報)などを正確に指定できます。
たとえば、ページ上に「〒630-0000 奈良県奈良市○○町1-2-3」と記載されていても、検索エンジンがそれを「住所」と正確に理解するには、構造化データによる補足が必要です。
これにより、NAP情報の解釈ミスや表記ゆれによる評価の分散を防ぐ効果が期待できます。
Googleも公式に、構造化データが検索結果におけるリッチリザルト(強調表示)の表示対象となると説明しています。
ただし、構造化データを追加しただけで直接ローカル検索順位が上昇するわけではありません。あくまで検索エンジンに情報を正確に伝える“補助的な施策”である点に留意しましょう。
また、ローカルSEOにおいては、NAPの整合性を維持することが信頼性の高いビジネスと見なされるため、構造化データはその一貫性を裏づける手段として有効です。
特に多店舗展開や複数拠点を持つ企業では、公式サイト上での構造化データ整備が、MEO対策の基盤強化に役立ちます。
関連記事:リッチリザルト(旧リッチスニペット)とは?構造化データの設定方法・確認手順を徹底解説
名称の一貫した使い方を意識する
サイテーションの効果を正しく得るには、Web上での会社名や店舗名の表記を一貫させることが欠かせません。
検索エンジンは、名称の表記が揺れていると、異なる事業者として認識してしまう可能性があり、その結果、サイテーションが分散して評価されるリスクが生じます。
たとえば、以下のような表記のゆれには注意が必要です。
- 「株式会社シンクション」/「シンクション(株)」
- 「〇〇カフェ」/「Cafe〇〇」/「〇〇coffee」
これらの表記がSNS、口コミサイト、業界ポータルサイト、Googleビジネスプロフィール、自社サイトなどで混在していると、検索エンジンが一貫したビジネス情報として理解しづらくなります。
正式な名称をあらかじめ決め、それをすべての媒体で統一して使用することで、サイテーションの信頼性や集約性が高まり、検索評価への貢献度も向上します。
さらに、名称に地域名や業種名(例:「奈良の花屋〇〇」「〇〇クリニック 奈良」など)を組み合わせると、ユーザーの検索意図と一致しやすく、自然な言及(サイテーション)にもつながりやすくなります。これはMEO(ローカルSEO)においても効果的なアプローチです。
「どこで言及されても、同一事業者として正しく認識される状態」を整えることが、信頼されるビジネスの基本であり、サイテーションを最大限に活かす土台となります。
発信チャネルでの情報の統一を確認する
サイテーションの効果を最大限に活かすには、Web上のさまざまな発信チャネルにおいて、ビジネス情報が一貫して表示されていることが前提となります。
検索エンジンは、複数のサイトで同じ名称・住所・電話番号(NAP)情報が繰り返し登場していれば、それを“信頼性の高い情報”として認識します。
逆に、媒体ごとに異なる表記や略称が使われていると、情報の断片化が起こり、評価が分散する原因になります。
次のようなチャネルは、特に見直しをおすすめします。
- 自社公式サイト(会社概要、フッター表記など)
- Googleビジネスプロフィール
- SNS(X、Instagram、Facebook等)のプロフィール欄
- 業種別ディレクトリ(食べログ、エキテン、ホットペッパーなど)
- プレスリリース配信サイト
- 地域ポータルサイトや自治体掲載ページ
SNSでは略称や親しみのある呼び方を使いたくなる場面もありますが、検索評価やブランディングを意識するなら、正式名称の使用が望まれます。
「どこで見ても同じ情報が載っている状態」を整えておくことが、検索エンジンにとってもユーザーにとっても“信頼できる存在”と認識されるためには必要な要件です。
関連記事:SNSで正しく表示されるOGP設定
サイテーションを増やすための方法
サイテーションは、待っていれば自然と増えるものではありません。
Web上で会社名やサービス名が言及される状況を、意識的に設計する必要があります。
そのためには、口コミ・レビュー・SNS・メディア露出など、あらゆるチャネルを活用し、多方面から話題になるきっかけを作ることがポイントです。
検索エンジンは、言及の頻度だけでなく、媒体の信頼性や情報の一貫性も見て評価していると考えられるため、戦略的な設計が欠かせません。
ここでは、サイテーションを増やすために実践できる施策を具体的に解説します。
SNSでの自然な言及を促す
サイテーションを獲得するうえで、SNSでの自発的な言及を促すことは非常に効果的です。
とくにInstagramやX(旧Twitter)など、ユーザーが体験を共有する文化のあるプラットフォームでは、自然発生的な投稿が生まれやすい環境が整っています。
検索エンジンは、こうした投稿を通じて「話題になっているか」「実在するか」といった情報を間接的に判断しており、特にローカル検索(MEO)においては、こうした言及が視認性(Prominence)の評価に影響を与えると考えられています。
また、ユーザーの実体験に基づいた感想やレビューが投稿されれば、E-E-A-Tの「Experience(経験)」という側面にも寄与し得ます。
ただし、これらはあくまで間接的な評価材料であり、投稿数=評価上昇ではない点に注意が必要です。
重要なのは、「自然に語られたくなる設計」を行うことです。たとえば…
- 利用者が投稿したくなるようなフォトスポットや印象的なサービスを用意する
- SNS投稿キャンペーンではなく、「紹介したくなる」体験設計に注力する
- 店舗や商品にSNSアカウントやハッシュタグを自然に掲示しておく
こうした取り組みを通じて、リンクのない言及(=サイテーション)が自然と蓄積され、検索エンジンからの信頼構築にもつながっていきます。
口コミ・レビューサイトに掲載される仕組みづくり
サイテーションを安定して獲得するには、Googleマップや口コミ・レビューサイトへの掲載環境を整備することが重要です。
特にローカルビジネスでは、信頼性の高い媒体(例:食べログ、エキテン、ホットペッパーなど)に情報が掲載されていると、検索エンジンにとっての“視認性(Prominence)”の判断材料となります。
ただし、数を増やすことだけに注力するのではなく、次のような点に配慮することが効果的です。
- 掲載する媒体の信頼性(検索で上位に出る、有名な業界ポータルなど)
- NAP情報(名称・住所・電話番号)の正確さと一貫性
- 店舗写真や営業時間などの情報を最新に保つ
- 不自然な自作投稿や「星5量産」などの操作的行為は避ける
また、ユーザーが口コミを書きやすい仕組みを整えることも大切です。たとえば…
- 来店後に「レビュー投稿をお願いするQRコード」を掲示
- メールやLINEなどで満足度アンケートと一緒にレビュー誘導
- 投稿しやすい媒体(例:Googleマップ、エキテン等)を絞って案内
こうした設計によって、自然な言及=信頼されるサイテーションが蓄積されていきます。
結果的に、ローカル検索での視認性が高まり、検索エンジン・ユーザーの双方に「実在性・信頼性」が伝わりやすくなります。
関連記事:SEO外注で失敗しないために|費用相場と業者選びのコツ
業界ポータルサイトや比較メディアを活用する
サイテーションを強化する手段の一つが、業界特化型のポータルサイトや比較・ランキングメディアへの掲載です。
これらの媒体に掲載されることで、社名やサービス名が自然にWeb上で言及される機会が増えます。
とくに、専門性の高い比較サイトや業界メディアは、検索エンジンからも信頼性の高い情報源として扱われやすいため、サイテーションの蓄積において有効なチャネルの一つです。
たとえば、「○○業界おすすめ企業10選」や「△△サービス比較ランキング」のような特集記事に掲載されることで、第三者の言及が自然発生しやすくなります。
ただし、掲載される媒体の選定には注意が必要です。信頼性の低いサイトや広告色の強すぎる媒体では、逆効果になる恐れもあります。
以下のようなポイントに配慮しながらアプローチを行いましょう。
- 読者や検索エンジンにとって権威性のある媒体を選ぶ(業界紙、認知度の高い比較サイトなど)
- 自社紹介用の広報資料やメディア掲載実績を整理しておく
- 掲載後のNAP情報の正確性や表記揺れがないかを必ず確認する
また、掲載によって得られるリンク(被リンク)も、SEO効果を高める要素のひとつとなります。
掲載依頼を一方的に出すのではなく、「読者に価値のある情報を提供する姿勢」でメディアと連携を図ることが大切です。
関連記事:SEO効果を高める良質な被リンクを増やす施策18選
広告やキャンペーンによる話題づくり
サイテーションを自然に増やすためには、広告やキャンペーンによって話題をつくる施策も有効です。
とくにSNSやニュースサイトなど、注目度の高いチャネルで展開された情報は拡散されやすく、ユーザーによる自発的な投稿やメディアでの言及につながる可能性があります。
たとえば、地域にちなんだユニークなイベントや、SNS映えを意識したプロモーションは、個人ブログや口コミサイト、X(旧Twitter)やInstagramなどでの自然な投稿を誘発しやすくなります。
ただし、広告そのものは検索評価に直接影響を与えるわけではありません。検索エンジンが評価対象とするのは、あくまで第三者による自然な言及やコンテンツです。
そのため、次のような「拡散されやすい情報設計」を意識することが重要です。
- 共感・話題性のあるストーリーや地域性を活かした企画をつくる
- SNSでの参加型キャンペーン(例:フォトコンテスト、レビュー投稿企画など)を設計する
- プレスリリースで注目の切り口を提示し、Webニュースなどでの取り上げを促す
こうした設計によって、企業名やサービス名が「自然に語られる」状態をつくることができれば、結果として信頼性や視認性の向上につながります。
満足度の高いサービスから自然な口コミを誘導する
ユーザーの満足度を高めることが、自然な口コミの発生につながります。
高評価の口コミやレビューは、SEO・MEOにおけるサイテーションとしても価値があり、Web上での信頼性向上に貢献します。
顧客が思わず誰かに話したくなるような体験を提供することがポイントです。
たとえば、期待を上回る丁寧な対応や、サービスのちょっとした感動ポイントは、SNSや口コミサイトでの自発的な言及を生みやすくなります。
さらに、購入後に満足度調査やレビュー依頼のメールを送るなど、声を届けやすい環境づくりも重要です。
無理に依頼するのではなく、「感想があれば教えてください」と自然な形で誘導することが、誠実さと信頼を生みます。
サービス品質を第一に考える姿勢が、結果的にユーザーの発信行動を促し、評価として蓄積されていくのです。
外部メディア・インフルエンサーとの連携を図る
サイテーションを加速させる手段として、外部メディアやインフルエンサーとの連携は有効です。
とくに、信頼性や影響力のある媒体や人物によって言及されることは、検索エンジンに「注目されている存在」と認識される一因となります。
たとえば、業界専門誌での特集記事や、フォロワー数の多いインフルエンサーによる紹介は、ブランドの認知拡大やWeb上での言及増加に直結します。
リンクがなくても、社名やサービス名がテキストで明記されていれば、検索エンジンにとってサイテーションとして機能する場合があります。
ただし、以下の点に留意する必要があります。
- 発信元の信頼性が高く、読者との関係性が強い媒体や人物を選定すること
- PR色が強すぎると逆に信頼性を損なう可能性があるため、「情報価値のある内容」を前提に設計すること
- 発信のタイミングや話題性(例:新商品・イベント・キャンペーンなど)を意識して連携すること
また、インフルエンサーやメディアとの連携は、大企業でなくても可能です。
たとえば、地域密着型のローカルメディアや、その分野で信頼されているブロガーとの連携でも、十分にサイテーション効果は期待できます。
信頼できる第三者からの発信は、E-E-A-Tの「権威性」や「信頼性」を強化するうえでも有効です。
短期的な話題づくりだけでなく、「誰に、どのように」語ってもらうかを戦略的に設計することが重要です。
サイテーション対策で注意すべきこと
サイテーションは被リンクと異なり、企業名やサービス名がリンクなしで言及されるだけでも評価対象になる可能性があります。
しかし、その分コントロールが難しく、誤った情報が拡散されるリスクや、意図しない評価の低下を招く場合もあります。
そのため、サイテーションを活用する際は、表記の一貫性や情報の正確性に十分な注意が必要です。
また、ネガティブなクチコミや信頼性の低い媒体での紹介が逆効果となる場合もあるため、戦略的に取り組むことが求められます。
以下では、サイテーション活用時に気をつけたいポイントを具体的に解説していきます。
NAPの表記ゆれや誤情報への対応
NAP(Name・Address・Phone)情報の一貫性は、サイテーションの信頼性に直結します。
どれだけ多くの媒体に掲載されていても、企業名や住所、電話番号に表記ゆれがあると、検索エンジンは同一の情報と認識しにくくなります。
特に、漢字とカタカナの使い分け、株式会社の有無、全角と半角の違いなどは要注意です。
名刺、チラシ、Webサイト、SNS、外部メディアに至るまで、すべての媒体で統一された表記を徹底しましょう。
また、古い電話番号や移転前の住所など、すでに使われていない情報が残っていると、ユーザーの混乱を招くだけでなく、検索エンジンの評価にも悪影響を与える可能性があります。
定期的な情報の見直しと修正を習慣づけることが重要です。
ネガティブな言及の影響と対策
サイテーションはポジティブな情報だけでなく、ネガティブな内容も評価対象となる可能性があります。
企業名やサービス名が多く言及されていても、その内容が批判や苦情に偏っていれば、ブランド全体の印象を損なうことになりかねません。
とくにレビューサイトやSNSでの悪評は拡散されやすく、検索エンジンもこうした情報をクロール・インデックスしています。
Googleのガイドラインでも、ユーザーの体験に基づく情報は評価対象とされているため、ネガティブなサイテーションが続けば、信頼性の低下につながるリスクがあります。
そのため、まずは誠実な対応でトラブルを減らすことが第一歩です。
悪い評価に対しても真摯に対応し、必要に応じて削除依頼や風評被害対策の専門家と連携するなど、早期の対応を心がけましょう。
関連記事:【日本語版あり】Google検索品質評価ガイドラインとは?
信頼性の低いサイトでの情報掲載は避ける
サイテーションの効果を高めるには、信頼できるサイトで紹介されることが重要です。
検索品質評価ガイドラインでも、情報の発信元の信頼性が検索結果の品質評価に大きく影響すると明記されています。
たとえば、自作自演の大量投稿や、広告目的の低品質なまとめサイトに言及されると、かえって信頼性を損なう恐れがあります。
GoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を評価軸としており、その観点からも出典の信頼性は軽視できません。
企業の公式サイトや業界の専門メディア、地域に根差したポータルサイトなど、情報の正確性が担保されやすい媒体への掲載を意識しましょう。
意図的な露出よりも、自然な形で評価・紹介されることが、検索エンジンにもユーザーにもプラスに働きます。
サイテーションの効果を確認する方法
サイテーション施策を行った後は、どの程度効果が出ているかを定期的に確認することが大切です。
具体的には、自社やブランド名がどのように言及されているかを把握し、検索トラフィックや指名検索の推移をチェックする必要があります。
検索順位や被リンク数と違い、サイテーションは数値で明確に可視化しづらいため、複数の手段を組み合わせてモニタリングすることが求められます。
ここでは、Google検索やSearch Consoleを使った方法、SNSやリアルタイム検索での確認方法、さらには指名検索数の変化を通じた評価の仕方について解説します。
Google検索やSearch Consoleでのチェック
サイテーションの効果を測る基本的な手段として、Google検索とSearch Consoleの活用が挙げられます。
まず、自社名やブランド名でGoogle検索を行い、検索結果に表示される言及サイトの種類や数を確認しましょう。
メディア記事、レビューサイト、SNS投稿など、第三者からの自然な言及が増えていれば、サイテーションが広がっている証拠といえます。
また、Search Consoleでは、ブランド名に関連する検索クエリの表示回数やクリック数を確認できます。
「クエリレポート」で指名検索が増えている場合、オンライン上での言及や評判が高まっている可能性があります。
掲載順位やCTR(クリック率)もあわせて確認することで、どのキーワードに反応があるかを分析できます。
関連記事:Googleサーチコンソールとは | 初期設定・導入手順を初心者にもわかりやすく解説!
SNSやリアルタイム検索でのブランド名モニタリング
SNSやリアルタイム検索を使えば、ユーザーによる言及をタイムリーに把握できます。
XやInstagram、Facebookなどでは、ブランド名や社名を検索することで、投稿内容や感想を確認できます。
Googleの「リアルタイム検索」機能や、Yahoo!リアルタイム検索なども便利です。
特に、拡散性の高いSNSでは、予期せぬサイテーションが発生することがあります。
「思わぬ一言」が多くのユーザーに届く可能性があるため、こまめなモニタリングが重要です。
さらに、MentionやBrandMention、Googleアラートなどのツールを使えば、特定キーワードの新規投稿を自動で通知してくれます。
言及の質やトーンもチェックし、ネガティブな反応には早めの対応を心がけましょう。
指名検索の増加を定期的に確認する
サイテーションが効果的に機能しているかを測る指標の一つが「指名検索の増加」です。
指名検索とは、ブランド名や店舗名などを直接入力して検索される行為を指します。
ユーザーがブランド名を検索するという行動は、そのブランドが「思い出され、信頼されている」証拠です。
つまり、サイテーションによって認知度が高まり、検索行動に繋がっている可能性があるのです。
Googleサーチコンソールでは、「検索パフォーマンス」レポートの中から、ブランド名や会社名を含むクエリをフィルタして確認できます。
このデータを月ごとに比較すれば、どのタイミングで検索需要が高まったかが明確になります。
指名検索が増えていれば、サイテーションが着実に認知形成に寄与している証拠です。
ローカルSEOやブランディング効果の定点観測として、継続的なモニタリングを行いましょう。
まとめ
サイテーションは、ブランドや店舗名がWeb上でどれだけ言及されているかという情報を通じて、検索エンジンの評価に影響を与える要素です。
特にリンクが伴わない言及でも評価対象になる点は、被リンクとの大きな違いです。
MEOやローカルSEO対策では、「視認性の高さ」がランキング要因として重視されており、サイテーションを意識した対策が重要性を増しています。
Googleビジネスプロフィールの整備やNAP情報の統一など、基礎情報の管理が評価の土台になります。
また、SNSや口コミサイトでの自然な言及、外部メディアとの連携を通じて、信頼性ある発信を増やすことが、E-E-A-Tの強化にもつながります。
評価の可視化には、Search Consoleやブランドモニタリングツールなどを活用し、指名検索の増加や検索結果での露出を定期的に確認することが大切です。
サイテーションを戦略的に活用し、検索エンジンとユーザーの双方に選ばれる存在を目指しましょう。
よくある質問(FAQ)
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サイテーションはどうやって増やせばいいですか?
サイテーションは、SNSでの自然な投稿や口コミ、業界ポータルサイトへの掲載など、第三者が自発的に企業名やサービス名を言及することで増加します。
キャンペーンやイベント、インフルエンサーとの連携も有効です。
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サイテーションと被リンク、どちらを優先すべきですか?
目的によって異なります。広域のSEO強化を目的とするなら被リンク、ローカル検索(MEO)やブランド認知の強化が目的であればサイテーションを重視すべきです。
どちらも併用するのが理想です。
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Googleビジネスプロフィールとサイテーションにはどんな関係がありますか?
Googleビジネスプロフィールは、サイテーション情報と照合される基準点のような役割を果たします。
プロフィール情報とWeb上のNAP表記が一致していると、検索エンジンが信頼できるビジネスとして認識しやすくなります。
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サイテーションが評価されているかを確認する方法はありますか?
Google検索やSearch Consoleで自社名の検索表示やクリック数をチェックするほか、SNS・リアルタイム検索、Googleアラートなどを活用してブランド名の言及をモニタリングするのが有効です。
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サイテーションがマイナス評価になることはありますか?
はい。ネガティブな口コミや信頼性の低い媒体での言及は、ブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。
情報の一貫性や発信元の信頼性を意識した対策が重要です。
記事の著者

吉村 健太朗
シンクション株式会社 代表取締役
資格景表法特商法遵守 個人認証(KTAA)
薬機法医療法遵守 個人認証(YAMM)
Google広告「検索広告」認定資格
Googleアナリティクス個人認定資格
奈良でWEBマーケティングとWEB制作に特化した「ツナガル」を運営しています。私のWEBキャリアは2012年、副業でアフィリエイトを始めたことがきっかけでした。
3か月で月10万円を達成したものの、その後思い通りに成果が伸びず挫折を経験。これが、私とWEB業界の出発点となりました。
その後、営業を経験し、2020年には本格的にWEBの世界へ。現在では、地域に特化したキーワード戦略により300以上の上位表示を実現し、SEO対策マニュアルでは検索順位2位を獲得しています。
お客様と共に課題を乗り越え、成果を共に喜び合うことが私のモチベーションです。WEBに関することならどんなご相談でもお気軽にお声がけください。
・Googleビジネスプロフィールを整備しても、なぜか検索順位が上がらない
・SNSや口コミでの話題づくりがMEOにどう影響しているのか分からない
・NAPや構造化データなど、何から取り組めば良いか迷っている
そんなお悩みがある方には、外部の視点から整理・改善のサポートを受けるという方法もあります。
シンクションでは、ローカルSEOやサイテーション対策のプロが、状況を丁寧にヒアリングし、具体的な打ち手をご提案しています。