Webサイトを訪れたユーザーが「今どこにいるのか」を把握し、迷わず目的のページへたどり着ける構造は、ユーザー体験を大きく左右します。
その重要なナビゲーション要素が「パンくずリスト」です。
一見シンプルな機能に見えますが、実は検索エンジンのクロール効率やサイト評価にも関わる、SEOの土台を支える仕組みでもあります。
ユーザーの回遊性を高め、サイト全体の構造を明示する役割もあるため、適切に設置・活用することで、直帰率の低下やCTR向上といった副次的効果も期待できます。
この記事では、パンくずリストの基本的な仕組みや種類から、SEO効果、設置方法、モバイル対応や設計時の注意点まで、実践的なノウハウを詳しく解説します。
目次
パンくずリストとは何か
パンくずリストとは、Webサイトにおける現在地を階層構造で示すナビゲーションのことです。
多くの場合、「トップページ > カテゴリ > 記事ページ」といった形で、ページが属する上位カテゴリや全体構造を視覚的に伝える役割を果たします。
とくに、検索結果から直接下層ページへアクセスされた場合でも、ユーザーがサイト内の構造を直感的に把握しやすくなる点が大きな特長です。
また、各階層へのリンクを通じて自然なサイト内移動を促進するため、回遊性の向上やユーザー満足度の改善にもつながる要素といえます。
このように、パンくずリストはユーザー体験とSEOの双方に貢献する基本構造のひとつとして、多くのWebサイトで導入されています。
Webサイトでの役割と名称の由来
パンくずリストは、単なる現在地表示だけではなく、ユーザーの行動を自然に導くナビゲーションの要でもあります。
たとえば、コンテンツの途中で興味を変えたユーザーが、ひとつ上のカテゴリや一覧ページに簡単に戻れる仕組みがあることで、サイト全体の回遊がスムーズになります。
また、パンくずリストという名称は、童話『ヘンゼルとグレーテル』が由来です。
森の中で道に迷わないよう、兄妹がパンくずを道しるべとして落としたという物語にちなんでおり、Webサイト上でも「帰り道を案内する目印」としての機能を果たします。
こうした比喩的な視点やUX上の利便性をふまえると、パンくずリストは単なる構造表示以上の“ユーザー導線設計の一部”として捉えることができます。
パンくずリストがSEOにもたらす主な効果
パンくずリストは、単なるナビゲーション機能にとどまらず、検索エンジン最適化(SEO)においても多角的に貢献する要素です。
Google検索セントラルの公式ガイドでも、パンくずリストのマークアップは「ウェブページの情報を分類する手段」として明記されており、構造化データ(JSON-LD形式)による実装が推奨されています。
また、GoogleのJohn Mueller氏は「パンくずリストはランキングに直接関係しないが、サイトの構造把握やリッチリザルトへの活用に役立つ」と明言しており、間接的なSEO効果が期待される要素です。
このように、パンくずリストは検索エンジンに対してコンテンツ構造の文脈を示す補助要素として重要であり、ユーザー体験(UX)の向上とも相まって、結果的に検索パフォーマンスを後押しする可能性があります。
本セクションでは、パンくずリストのSEO貢献を以下の3つの観点から具体的に解説します。
参考:Google Says Breadcrumb Placement Does Not Matter For SEO
内部リンク強化によるクローラビリティの改善
パンくずリストを設置すると、ページ間の内部リンクが体系的に構築されるため、検索エンジンのクローラーがサイト全体の構造を把握しやすくなります。
とくに、上位階層へのリンクを含む構造にすることで、深い階層からのクロール効率が高まり、インデックス促進にも効果的です。
さらに、パンくずリストは構造化データとしてマークアップ可能であり、Googleに明確なサイト構造を伝える手段としても機能します。
この仕組みにより、クロール漏れの防止や、評価の遅延リスクを軽減する効果も期待できます。
関連記事:検索エンジンの基礎知識
ユーザビリティ向上と直帰率改善への貢献
パンくずリストの設置は、Webサイトにおけるユーザビリティの向上に大きく寄与します。
ユーザーは自身の閲覧位置を即座に把握でき、迷うことなく目的のコンテンツへと移動できる環境が整います。
とくに、検索エンジン経由で下層ページに直接アクセスした場合でも、上位カテゴリへのスムーズな移動が可能となるため、サイト内回遊が促進されます。
この回遊性の向上は、結果として直帰率の低下や平均滞在時間の増加に結びつき、ユーザー体験の改善とSEOの両面でプラスに働きます。
わかりやすく整備されたパンくずリストは、情報探しのストレスを軽減し、リピーターの獲得にもつながる重要な要素となります。
検索結果への表示とクリック率向上
パンくずリストは、構造化データ(特にJSON-LD形式)を用いてマークアップすることで、Googleの検索結果(主にデスクトップ表示)にリッチリザルト形式で表示される可能性があります。
なお、2025年1月以降、モバイル検索結果ではURL欄にパンくずパスが表示されなくなったため、リッチリザルトの表示は主にデスクトップ検索に限られる点に注意が必要です。
とはいえ、構造化データによるマークアップは検索エンジンにページ構造を伝える上で依然として重要です。
この形式では、URLの代わりにカテゴリ構造が視覚的に表示されるため、ユーザーがページ内容を瞬時に把握しやすくなり、クリック率(CTR)の向上につながる要素となります。
また、カテゴリ名や階層情報が明示されることで、検索意図との一致度が高まり、検索結果上での信頼感や選ばれやすさがアップします。
リッチリザルト対応は、SEOだけでなくUXの向上にも直結するポイントです。
パンくずリストの種類と特徴
パンくずリストには複数の形式が存在し、それぞれ表示内容や用途が異なります。
サイトの構造や目的に応じて、適切なタイプを選ぶことで、ユーザーの利便性とSEO効果の両立が可能になります。
このセクションでは、「位置型」「属性型」「パス型」という3つの代表的な種類について、それぞれの特徴と向いているケースを解説します。
位置型パンくずリスト
位置型パンくずリストは、Webサイト上でのページの階層構造を示す形式です。
ユーザーがどの経路でそのページに到達したかに関わらず、固定された位置情報として上位階層から順に表示されるのが特徴です。
たとえば「トップページ > カテゴリ > 記事詳細」といった形で、サイト構造を視覚的に案内します。
この形式は、カテゴリごとの整理が明確なWebサイトに向いており、ユーザーがサイト全体の構成を理解しやすくなります。
また、位置型パンくずリストは検索エンジンに対しても階層構造を伝える役割を持ち、クローラビリティ向上に寄与する要素とされています。
そのため、ブログ、製品紹介サイト、ニュースサイトなど、構造が整ったコンテンツに適した形式です。
属性型パンくずリスト
属性型パンくずリストは、ページが持つ属性情報や検索条件に基づいて表示されるタイプです。
閲覧者が選択した条件やタグ、カテゴリの内容がパンくずリストとして表現され、ECサイトや検索機能の多いメディアに適しています。
たとえば「ホーム > メンズ > シャツ > 白 > Lサイズ」といったように、絞り込み条件をそのままナビゲーションとして表示します。
これにより、ユーザーは現在のフィルタ状態を把握しやすくなり、前の条件に戻るなどの操作がしやすくなります。
ただし、サイトの階層構造とは一致しないため、SEO目的ではなくユーザー操作性の向上が主な目的となります。
多条件検索に対応する商品一覧ページや不動産サイトなどで、直感的な導線づくりに活用される形式です。
パス型パンくずリスト
パス型パンくずリストは、ユーザーがそのページに到達するまでにたどった実際の閲覧履歴を表示する形式です。
他の種類と異なり、同じページでもアクセス経路によって表示内容が変わる点が特徴です。
たとえば、「トップ > キャンペーン一覧 > 商品ページ」と進んだ場合と、「トップ > 人気商品 > 商品ページ」と進んだ場合で、表示されるパンくずが異なります。
このように、セッション中の行動履歴に基づく動的表示となります。
しかし、ブラウザの「戻る」機能や履歴タブで代替できることもあり、ユーザビリティやSEOへの貢献度は限定的です。
現在ではあまり採用されることがなく、実装の手間に比してメリットが少ない形式といえます。
WordPressでのパンくずリスト設置方法
WordPressサイトでパンくずリストを設置する方法は、プラグインを利用する方法と、テーマ機能を活用する方法の大きく2通りがあります。
どちらの方法も専門的な知識がなくても対応可能で、操作性やカスタマイズ性を重視するかどうかが選定のポイントとなります。
このセクションでは、代表的なプラグイン「Breadcrumb NavXT」の設定手順と、テーマ機能を使った自動表示および調整方法について解説します。
Breadcrumb NavXTプラグインの基本設定
「Breadcrumb NavXT」は、WordPressで最も利用されているパンくずリスト用プラグインのひとつです。
コードの知識がなくても設定でき、多くのテーマと高い互換性を持つ点が特徴です。
インストールは、WordPress管理画面の「プラグイン」>「新規追加」から「Breadcrumb NavXT」と検索し、インストール後に有効化します。
有効化後は「設定」>「Breadcrumb NavXT」から詳細設定が可能です。
基本的な設定項目には、表示形式・区切り記号・トップページや投稿名の出力有無などがあります。
表示スタイルはテーマのCSSに依存するため、見た目の調整は別途スタイルシートで対応するのが一般的です。
また、ショートコードやPHPコード(例:bcn_display())を使えば、任意の場所にパンくずリストを表示することも可能です。
なお、All in One SEOでもパンくず機能が提供されており、SEO対策と連動して簡易的に設置できる利点があります。
ただし、Breadcrumb NavXTに比べるとカスタマイズ性にやや制限があるため、サイトの構成や運用方針に応じた選択が重要です。
テーマによる自動表示とカスタマイズ
多くのWordPressテーマでは、あらかじめパンくずリストの表示機能が組み込まれている場合があります。
とくにSEO対応を意識した有料テーマや国産テーマでは、自動表示の設定が簡単にできる設計になっています。
テーマ設定画面に「パンくずリストの表示」オプションがある場合、チェックを入れるだけで自動的に記事タイトル上などに表示されます。
この方法は最も手軽で、表示位置やスタイルもテーマ側で最適化されているのがメリットです。
一方で、より柔軟にカスタマイズしたい場合は、テーマファイルの編集や子テーマの活用が必要になります。
たとえば、single.php や page.php に bcn_display() を追記することで、任意の位置への設置が可能です。
また、パンくずの区切り記号やリンクの有無なども、テーマ側のCSSやfunctions.phpを通じて調整できます。
初期状態のデザインで不十分な場合は、CSSでの微調整を行いましょう。
スマートフォン対応の設計ポイント
スマートフォンユーザーの増加に伴い、パンくずリストもモバイル環境に最適化された設計が求められています。
とくに現在では、Googleがすべてのサイトにモバイルファーストインデックス(MFI)を原則適用しており、モバイル版の使い勝手が検索順位に直結するため、スマホ対応はSEO施策の前提条件となっています。
デスクトップと同様の表示をそのまま適用すると、画面スペースを圧迫しやすいため、モバイルUIに適した表示方法やユーザーインターフェース上の工夫が不可欠です。
表示スペースを圧迫しないUI設計
スマートフォンの狭い画面では、パンくずリストの表示領域が他の重要な要素を圧迫する恐れがあります。
そのため、最小限のスペースで情報を伝えられるUI設計が求められます。
一般的には、フォントサイズの最適化や余白の調整、行数を抑えたレイアウトが有効です。
また、パンくずリスト自体を1行で収めることを意識し、カテゴリー名を短く設計することも重要です。
視認性と機能性のバランスを取りながら、ファーストビューに与える影響を最小限に抑える設計を心がけましょう。
画面が縦長になるスマートフォンでは、情報の詰め込みすぎがユーザーの離脱を招く原因にもなります。
省略表示・スライド対応などの工夫
スマートフォンにおけるパンくずリスト表示では、画面幅を超える要素をそのまま並べると視認性が低下します。
この課題を解決するために、一部の階層を省略表示したり、横スライドに対応させる工夫が有効です。
たとえば、途中の階層を「…」で省略し、「ホーム > … > 最終ページ」といった形で表示することで、全体像を伝えつつ視認性を保つことができます。
また、CSSの overflow-x: auto を使って、パンくず部分を横スクロール可能にする方法も広く使われています。
これらの手法により、コンテンツエリアの圧迫を避けながら、パンくずリストの利便性を確保することができます。
ユーザーが必要なタイミングでパンくずにアクセスできるよう、UIと設計のバランスを意識することが重要です。
設置時に注意すべきSEOの落とし穴
パンくずリストはSEOに効果的な要素とされていますが、設置の仕方を誤ると逆効果を招くリスクもあります。
とくに、キーワードの過剰な挿入や階層の設計ミス、表示位置の不適切さは、検索エンジンからの評価を下げる原因となりかねません。
このセクションでは、パンくずリストの設置時に注意すべきSEO上の落とし穴とその回避方法について詳しく解説します。
キーワード詰め込みによるスパム評価の回避
パンくずリストにSEOキーワードを含めること自体は、検索意図との整合性を高める手法のひとつです。
しかし、不自然に多くのキーワードを挿入すると「キーワードスパム」と判断され、検索エンジンからペナルティを受ける可能性があります。
たとえば、「SEO対策 ノウハウ 記事 コンテンツ SEOブログ」のような過剰で不自然なカテゴリ名は逆効果です。
ユーザーにとって読みづらく、クリックを妨げるだけでなく、Googleの品質ガイドラインにも抵触するリスクがあります。
パンくずリストでは、あくまでカテゴリやページの役割を自然に表す表現にとどめ、コンテンツ全体でキーワードを適切に分散させる設計が重要です。
過剰な階層や冗長表現の抑制
パンくずリストは、サイト構造を明示するうえで有効ですが、階層が深すぎるとユーザーにとって煩雑で、SEO的にも評価が下がる恐れがあります。
とくに、5階層以上にわたる長大なパンくずは、可読性や操作性の低下につながります。
また、階層ごとに類似した言葉を繰り返すなどの冗長表現も避けるべきポイントです。
たとえば、「商品一覧 > メンズ商品一覧 > メンズシャツ一覧」のような表現は、検索エンジンにもユーザーにも冗長で意味の重複が多くなります。
適切な階層数を保ちつつ、端的でわかりやすいカテゴリ名を使用することで、パンくずリストの価値が高まります。
構造をシンプルに保つことが、結果としてサイト全体の評価向上にもつながります。
表示位置とクロール対象の最適化
Googleは、HTML内で最初に現れるパンくずリストを優先的に認識する傾向があります。
そのため、記事タイトルより前や、メインコンテンツの直前に配置することで、クロール対象としての重要度を高めることが可能です。
また、複数の場所にパンくずを設置する場合は要注意です。
検索エンジン側で評価が分散される恐れがあるため、メインのパンくずは1箇所に固定し、構造化データも統一的に設定することが推奨されます。
さらに、display:none や visibility:hidden による非表示パンくずは、Googleに認識されないことがあるため、表示と構造の一貫性を保つことが大切です。
パンくずリストのSEO効果を確認する方法
パンくずリストを設置したあとは、実際にどのようなSEO効果があったのかを検証することが重要です。
効果測定を行うことで、構造化データの実装が正しく機能しているか、検索結果への表示が改善されているかを把握できます。
具体的には、①構造化データの認識確認、②検索結果への反映状況のチェック、③CTRや掲載順位といった成果の追跡という3つの視点から効果を見ていきます。
Google Search Consoleでの構造化データ確認
パンくずリストの構造化データが正しく機能しているかを確認するには、Google Search Console(GSC)の「拡張」セクション内にある「パンくずリスト」レポートを活用します。
GSCのサイドメニューから「拡張 > パンくずリスト」を開くと、検出されたページ数、エラーや警告の有無が確認できます。
エラーがある場合は、マークアップの不備やプロパティ不足が原因となるケースが多いため、早急な修正が必要です。
また、リッチリザルトテストを併用すれば、個別ページごとの構造化の成否も即座に確認可能です。
「有効」と判定されれば、検索結果への反映準備が整っている状態と判断できます。
関連記事:Google Search Consoleの使い方
リッチリザルト表示状況のチェックポイント
構造化データが有効であっても、実際にGoogleの検索結果にパンくずリストが表示されるかどうかは別問題です。
そのため、「リッチリザルトが表示されているか」を定期的にチェックすることがSEO運用では重要なプロセスとなります。
なお、リッチリザルトの表示可否はGoogleのアルゴリズムに依存するため、設定が正しくても必ず表示されるとは限りません。
表示の有無を確認しながら、構造やマークアップの最適化を継続する姿勢が大切です。
CTR・表示回数・掲載順位の変化を追う
パンくずリストの設置による実際のSEO成果を測定するには、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートが役立ちます。
このレポートでは、対象ページの検索結果におけるクリック率や表示回数、掲載順位の変化を把握することができます。
とくに、パンくずリストがリッチリザルトとして表示された場合、検索結果での視認性が向上し、CTRが上昇するケースも見られます。
また、構造化データの導入がGoogleに評価されれば、掲載順位の安定やインデックス速度の向上にもつながる可能性があります。
これらの変化を定期的に追跡し、SEO効果を数値で裏付けながら改善を重ねていくことが大切です。
パンくずリスト設置後に見直したい“情報設計”の視点
パンくずリストを正しく設置しても、思うようにSEO成果が出ないケースは少なくありません。
その原因の多くは、パンくずそのものではなく「サイト全体の構造やカテゴリ設計」にあることが多いです。
パンくずリストは、単なるナビゲーションではなく、情報設計の妥当性を可視化する指標でもあります。
設置後に成果が出ない、離脱率が下がらないといった課題があれば、サイト構造そのものの見直しが必要です。
カテゴリ構造がユーザー目線かを再点検する
パンくずリストが機能していない場合、その原因はカテゴリ構造自体にある可能性があります。
とくに、企業側の視点だけで分類されたカテゴリ名や、専門用語がそのまま使われている構成では、ユーザーが内容を直感的に理解できません。
ユーザーが探している情報にたどり着きやすい設計かどうかを確認するには、カテゴリ名が「誰でも一目でわかる言葉」になっているかを点検しましょう。
また、同じレベルのカテゴリが多数並びすぎていないか、分類の過不足がないかも再確認が必要です。
たとえば、「導入事例」「事例紹介」「お客様の声」など内容が近いカテゴリが複数ある場合、それぞれの違いがユーザーに伝わっていなければ混乱のもとになります。
このようなケースでは、重複を統合するか、明確な分類基準を持たせることで、パンくずのわかりやすさも大きく向上します。
階層が深すぎる・浅すぎる構造を調整する
パンくずリストが冗長に感じられる場合、サイトの階層構造そのものがユーザーにとって複雑すぎる可能性があります。
たとえば、5階層以上にわたるパンくずが並ぶと、情報をたどるだけで疲れてしまい、回遊性が下がる原因になります。
一方で、階層が浅すぎる場合も注意が必要です。
2階層以下しかない構造では、情報が十分に整理されていない印象を与えたり、詳細ページがどこに属しているか分かりづらくなったりすることがあります。
理想的なパンくずリストの階層は、トップページを含めて3〜4階層前後が目安です。
サイト構造を見直す際は、ユーザーが迷わず1〜2クリックで上位ページに戻れる設計かどうかを基準に調整を進めることが大切です。
パンくず設計から見えてくるUX課題
パンくずリストのクリック率が低かったり、ページ遷移が期待通りに起きていない場合、ユーザーにとって動線が機能していない可能性があります。
これは単なるデザインや文言の問題ではなく、UX(ユーザー体験)の設計全体に潜む課題を示しているかもしれません。
たとえば、パンくずが視認しづらい位置にあったり、文言が抽象的すぎてリンクの先が想像しにくいと、ユーザーは利用しない選択をします。
また、サイト内にパンくずリストが設置されていないページがあると、一貫性が欠けてしまい、迷子になりやすい状況を生み出します。
このような兆候は、ヒートマップやセッション録画ツールを使うことで把握できます。
表示位置・文言・リンク構造などを見直すとともに、サイト全体のナビゲーション導線を再評価することが、UXの改善につながります。
まとめ
パンくずリストは、単なる補助的なナビゲーションではありません。
ユーザーの現在地を明示し、回遊性を高める役割を果たすと同時に、検索エンジンにサイト構造を正確に伝えるための重要な仕組みです。
とくに、構造化データによるリッチリザルト対応や、クローラビリティの向上、ユーザビリティ改善といった面で、パンくずリストはSEOの土台を支える要素のひとつとして活用されています。
設置方法はWordPressプラグインやテーマ機能など多様で、スマートフォンへの配慮や構文設計の最適化といった工夫もポイントです。
一方で、過剰なキーワード挿入や階層の複雑化など、逆効果を招くリスクもあるため、注意深い設計が求められます。
また、パンくずリストを通じて、自社サイトのカテゴリ設計やUXの在り方を見直すきっかけにもなります。
設置して終わりではなく、「情報設計の可視化」として継続的な検証と改善を行うことが、SEOとユーザー満足度の両立につながります。
よくある質問(FAQ)
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パンくずリストを設置するだけでSEO効果は出るんですか?
パンくずリストを設置しただけで、劇的なSEO効果が出ることは基本的にありません。
パンくずリストは、あくまでサイト全体の情報構造を整理し、ユーザビリティを高めるための補助的な要素です。ただし、構造化データによるリッチリザルト対応や、クローラビリティの向上に貢献するため、他のSEO施策と組み合わせて活用することで効果を発揮するパーツであることは間違いありません。
SEO施策としては「効果の土台を支える要素」として捉え、過度な期待をせずに全体設計の中に取り入れることがポイントです。
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スマホ画面ではパンくずリストは非表示にしてもいいですか?
基本的には、スマートフォンでもパンくずリストは表示しておくことが推奨されます。
小さな画面でも現在地を把握しやすくなるため、ユーザーの迷子防止や回遊性の確保に役立つ要素です。
ただし、表示領域が限られるモバイル環境では、UI設計に配慮する必要があります。
たとえば、省略表示や横スライド対応、最小限の階層表示といった工夫を行えば、表示の圧迫を避けつつパンくずの利便性を保てます。
一時的な非表示ではなく、「スマホでもストレスなく使えるUIで見せる」という発想で設計することが大切です。
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パンくずリストはすべてのページに必要ですか?
すべてのページにパンくずリストを表示することが理想的ですが、ページの種類によっては例外もあります。
とくに、カテゴリ配下に属する通常の投稿ページや商品ページには表示するべきです。
ユーザーが現在地を把握しやすくなり、上位階層へのナビゲーションとしても機能します。
一方で、LP(ランディングページ)や404ページ、フォーム完了ページなどは、構造上パンくずリストが適さないケースもあります。
その場合は、表示を省略してもSEO上の影響は限定的です。
基本方針としては「階層構造にあるコンテンツページには必ず表示する」ことを心がけましょう。
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カテゴリ名にキーワードを入れるのはアリ?ナシ?
適切な範囲であれば「アリ」です。
カテゴリ名にキーワードを含めることで、検索エンジンにコンテンツの主題を明確に伝える効果が期待できます。
ただし、不自然にキーワードを詰め込むのはNGです。
たとえば「SEO 対策 ノウハウ 情報 記事一覧」といったカテゴリ名は、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても読みにくく、スパムと評価される可能性があります。
推奨されるのは、自然な文章やカテゴリの意味が伝わるシンプルなキーワード選定です。
たとえば「SEOノウハウ」や「集客の考え方」など、ユーザーがクリックしたくなる表現を意識しましょう。
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Search Consoleで「パンくずリスト」にエラーと表示されたのですが?
Search Consoleで「パンくずリスト」に関するエラーが表示された場合、多くは構造化データ(schema.org)の記述ミスや不足が原因です。
具体的には、次のようなエラーがよく見られます。
よくあるエラーの例- 必須プロパティ「name」がありません
- 「itemListElement」の構文が不正です
- パンくずリストが正しくマークアップされていません
対処方法としては、Googleのリッチリザルトテストツールを使って該当ページのマークアップを検証し、指摘された項目を修正するのが基本です。
修正後はSearch Consoleの該当レポートから「修正を検証」ボタンを押し、再クロールを依頼しましょう。
記事の著者

吉村 健太朗
シンクション株式会社 代表取締役
資格景表法特商法遵守 個人認証(KTAA)
薬機法医療法遵守 個人認証(YAMM)
Google広告「検索広告」認定資格
Googleアナリティクス個人認定資格
奈良でWEBマーケティングとWEB制作に特化した「ツナガル」を運営しています。私のWEBキャリアは2012年、副業でアフィリエイトを始めたことがきっかけでした。
3か月で月10万円を達成したものの、その後思い通りに成果が伸びず挫折を経験。これが、私とWEB業界の出発点となりました。
その後、営業を経験し、2020年には本格的にWEBの世界へ。現在では、地域に特化したキーワード戦略により300以上の上位表示を実現し、SEO対策マニュアルでは検索順位2位を獲得しています。
お客様と共に課題を乗り越え、成果を共に喜び合うことが私のモチベーションです。WEBに関することならどんなご相談でもお気軽にお声がけください。